クラウドの市場規模拡大の波はタイムレコーダーにも
タイムレコーダー市場のなかでもクラウド対応の機器が増えていますが、「そもそも、クラウドサービスってなに?」と疑問を抱く人も多いのではないでしょうか?
タイムレコーダーを導入するなら知っておきたい『クラウド』についての基礎知識をご紹介します。
タイムレコーダーの中でもクラウドの市場規模が成長中
依然としてタイムカードを使った打刻を採用する企業は多いものの、インターネットの発展に伴い、クラウドサービスを活用した就業管理の市場規模が拡大しているということをご存知ですか?
クラウドサービスというと、セキュリティ面や情報漏洩を危惧して、なかなか導入に踏み切れない企業も多いように感じますが、総務省の調べによると、クラウドサービスを利用しているという企業の割合は増加傾向にあることが分かっています。
(参考:総務省 | 平成28年版情報通信白書 | クラウドサービスの利用動向)
これは、タイムレコーダーをはじめとした就業管理システム全体にも同じことが言え、ASPやSaaSを主軸に置くシステムが増えているのです。
「なんだかASPやSaaSなんて言葉は聞きなれないし、うちの会社で導入するのは難しそう…」と思うかもしれませんが、こういった流れはいずれ主流になり、クラウドサービスを検討せざるを得ない日がやってくると言えます。
身近なもので例えるなら、その最たるものがスマホです。
ガラケーが主流だったころには、スマホ利用者は少数派であり、自らスマホを購入する人はあまりいなかったはず。
しかし、今ではそのシェアが逆転し、ガラケーの種類は激減しています。
タイムカード式のタイムレコーダーのシェアは依然として高いですが、クラウド市場の拡大による影響でネットワーク対応の機種とのシェア逆転という日も訪れる可能性があります。
だからこそ、クラウドサービスの基礎を知り、将来を見据えたタイムレコーダー選びをしていきましょう。
システムのサーバをどこで管理するのかがポイント
まず、現在タイムカードを使った打刻を行っている場合、出退勤のデータはタイムカードという紙に印字された時刻ということになります。
この時刻データは、総務部や人事部の人が毎月パソコンで入力し、デジタルデータにしたうえで集計・給与計算を行っているはずです。
クラウドサービスを利用する場合、この出退勤のデータというものはあらかじめデジタルデータで記録されます。
ICカードによるタッチや、タブレット上での操作、指紋認証など打刻方法は様々ですが、出退勤の時刻はデジタルデータとして保持するのです。
では、この出退勤データはどこで管理されるのでしょうか?パソコンの中?いえいえ、違います。
一時的にタイムレコーダーやパソコンに保存する機種もありますが、すべてのデータはネットワークを通じてサーバに送信され、サーバで保存・管理されるのが一般的です。
このサーバを自社内に持ち、管理する場合はオンプレミス型、反対に、自社内でサーバを持たず、クラウドプロバイダーなどが提供するデータセンターを使う場合をクラウド型と言います。
クラウドというと難しいように感じますが、GmailやYahooメールを思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。
これらのメールサービスはログインするだけで利用でき、メールデータの保存場所などは特に意識せずに利用できますよね?
同じように就業管理のクラウドサービスも、打刻や集計を行うパソコン(またはタブレット)に専用のアプリケーションをインストールするだけで、サーバという概念を気にすることなく使えるのが特徴です。
中にはWebブラウザがあれば使えるというものもあるので、アプリケーションのインストールさえ不要な場合もあります。
月額利用できるASPやSaaSが主流のワケ
クラウドサービスの中でも、いろいろと種類がありますが、タイムレコーダーや勤怠管理といったシステムでは、月額費用を支払うだけで利用できるASP(SaaS)が主流です。
これは、利用者が低コストで導入でき、維持・管理の手間がかからないということが最大の理由でしょう。
クラウドサービスが登場する前は、自社でサーバを持つオンプレミス型が主流でしたが、オンプレミスの場合、サーバの購入から始まり、バックアップや障害時の対策、ソフトウェアのインストールや設定と、導入までにかなりのコストと時間を要します。
オンプレミスはカスタマイズがしやすい、セキュリティが強固というメリットはあるものの、運用が開始してからもバージョンアップの対応など、維持するための人員やコストがかるため、中小企業では導入に踏み切れない会社も多くありました。
その点、サーバ自体をクラウドプロバイダーで管理してくれるASP(SaaS)の場合、月額費用を支払えば利用できるため、これまでオンプレミス型での導入を諦めてきた会社でも導入を検討しやすいのです。
もちろん、オンプレミス型にデメリットがあるようにASP(SaaS)にもデメリットはあります。
オンプレミス型に比べ、カスタマイズ対応が難しいことや、社員の情報を他社のサーバに預けるため、セキュリティ面での不安がネックになる場合があるので、そこはしっかりとサービスの機能を比較検討する必要があります。
無料で利用できるサービスは内容をしっかり確認して
こういったクラウド型のタイムレコーダーや勤怠管理には、無料で利用できるというサービスもいくつかあります。
しかし、「タダほど高いものはない」とはよく言ったもので、利用できる人数に制限があるものや、一部の機能のみ無料利用可能といったケースが多く、結局月額費用がかかるということが往々にしてあります。
無料のサービスを利用する場合は、現在使っているタイムレコーダーや勤怠管理と併用し、実際の運用に耐えうるものかをしっかりと確認したうえで、導入するようにしましょう。
特に、無料であるが故に、問い合わせ窓口が無かったり、急にシステムが使えなくなったりということがあるので、注意が必要です。
いきなりクラウド型のタイムレコーダーや勤怠管理を比較検討するのはハードルが高い…という場合は、こういった無料で利用できるサービスを使ってみるといいですね。
そこからクラウドサービスの特徴をつかみ、自社の運用に沿った使い方ができるかを検討していきましょう。