従業員のスマホや携帯がタイムレコーダーに?!そのメリット・デメリットとは
タイムレコーダーを導入するときに気になるのが、社外で勤務する従業員への対応です。今回は外勤の従業員が多い場合に知っておきたい、モバイル端末(スマホや携帯)で打刻できる機能を備えたタイムレコーダーについて見ていきましょう。
外出先での打刻はどうする?
アナログ方式の打刻を導入している場合、社内に立ち寄らない従業員の出退勤時間をどのように管理するかは企業にとっても、従業員にとっても頭を悩ませる問題です。
アナログ方式のタイムレコーダーの場合、従業員は自分で出退勤時間を管理し、管理者に報告する必要があるので、専用のエクセルフォーマットに従業員が記録して月末に提出するなどの方法をとっている企業が多くあります。
他にも、外勤者の場合はメールによる報告を課していたり、外回りの場合も社内に寄って出勤・退勤の打刻をするように義務付けていたりなど、その対応方法は企業によって様々です。
ただ、どの方法にしても、
- 正確な勤務実態を把握しづらい(過重労働のリスク)
- 管理・集計の手間がかかる(作業効率低下・人件費増大のリスク)
- 出退勤時間をごまかすことができる(勤怠の不正に関するリスク)
という点が問題となります。
これまではアナログ対応の機種が主流だったため、これらの問題を改善するのが難しかったのですが、タイムレコーダーのデジタル化が進んだことにより、モバイル端末での打刻が可能な機種もでてきました。
スマホや携帯で打刻できるメリット・デメリット
では、従来のアナログな機種と比べて、スマホや携帯(ガラケー)で打刻ができるタイムレコーダーにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
【メリット】外出時の出退勤時間の管理が容易になる
スマホや携帯電話で打刻ができるようになることで、外勤が多い従業員の事務処理にかかる時間や、入力ミス、不正申告のリスクが減ります。管理者からするとそこまで実感がないかもしれませんが、外勤が多い従業員にとって出退勤時間の管理というのはかなりのストレス。
内勤の従業員の場合は、入口でタイムカードを押すだけで済みますし、研修などで外出したとしても、翌日社内で簡単に記録や申請ができます。
しかし、これが外勤だと、
- 外出先から社内の環境にアクセスできないことが多いので申告には社内に戻る必要がある
- 会社によっては不正申告防止のために外勤の場合も帰社してタイムカードを押すことを義務づけていることがある
などなど、本来なら社内に戻る用事がないのに、出退勤時間を申告するために帰社しなければいけないケースが多いのです。では、これがスマホや携帯で簡単にできるようになったらどうでしょう?
従業員は日ごろの出退勤時間のメモや不必要な帰社から解放され、本来の業務に集中できるようになります。『その場で打刻』というのは従業員のストレス緩和はもちろんのこと、新しい従業員に出退勤時刻の申告方法を説明するときも、『内勤なら入口のタイムレコーダー、外勤ならスマホか携帯で打刻』とシンプルに伝えることができますよね。
これまでタイムカードの時間と外勤時の申告の2種類を集計していた手間も、入力された情報が一ヵ所に集約されるので、担当者の作業量を減らすこともできます。
【デメリット】対応端末やGPS機能の有無で大きな違いがある
こうやって見ていると、良いことずくめのように思えるモバイル端末による打刻ですが、次のようなデメリットにも注意が必要です。
- モバイル端末の機種によってはうまく動かないことがある
- スマホの場合OSアップデートにも注意が必要
- GPSによる位置情報取得の機能がない場合は不正打刻のリスクが残る
1点目は、モバイル端末というのはその種類が豊富なため、すべての機種で動作を保証するのは難しいということです。タイムレコーダーがどのOSで動作確認がとれているかというのは各社ともに公開していますが、従業員が使っている全ての機種を網羅していることはほとんど無いでしょう。
動作確認をしていない機種でも動くことは多いですが、やはり中には表示がうまくいかない機種が出てくるケースもあります。そういった場合にしっかりと対応してくれる問い合わせ窓口があることが、タイムレコーダー選びをする際に大事なポイントです。
2点目は、スマホアプリの場合OSのアップデートに対応していないと、不具合が発生することもあるので、アプリの修正がしっかりされているかもタイムレコーダーを導入する際に確認しておきましょう。
3点目が一番重要で、モバイル端末による打刻は、どこでもできてしまうので最悪、家にいるのに出勤・退勤の記録を残せてしまうということです。そういった不正打刻を抑止するために、最近のタイムレコーダーアプリではGPSによる位置情報を記録する機能が搭載されていることが多いのですが、中にはその機能がないタイムレコーダーもあります。
通常時は内勤で、研修や出張のときだけ外出先で打刻できればいいというのであれば、そこまでGPS機能にこだわらなくてもいいですが、外勤の従業員が多い場合は、不正打刻を防ぐためにも、GPS機能がついているものを選ぶようにしましょう。
従業員の勤務形態に沿ったシステム選びを
今現在、アナログ式のタイムレコーダーを使っているのであれば、デジタル式に変えることで社内での打刻や集計作業がより一層スムーズになることでしょう。しかし、そこで忘れてはいけないのが、外勤が多い従業員への配慮です。
管理者が『良いシステム』だと思っても、実際に従業員がうまく使いこなせなければ、正確な出退勤の情報は得られません。『従業員の使いやすさ』をしっかりと検討材料に入れてシステムを選定することも、タイムレコーダーのデジタル化で失敗しないための秘訣です。